西鉄の運賃割引、精神障害者もやっと対象になりました
平成29年4月から、西鉄電車・バスの運賃の「障がい者割引」に精神障害者も対象となることになりました。これは当事者やご家族にとって長年の悲願でした。
これまでの経緯
平成7年に「精神障害者保健福祉手帳」が制度化されたときには、既に「身体」、「知的」の障がい者手帳には割引運賃が適用となっていました。しかし、新しくできた精神障害者保健福祉手帳にはこれが認められませんでした。 当初は精神障害者保健福祉手帳の利用者側も適用外であることを知らない方も多く、西鉄バスや電車に乗るときに提示していたようです。しかし、時間がたってくると精神障害者手帳は利用できないということが常識となってきて、提示する人はいなくなりました。
この頃の精神障害者保健福祉手帳には写真の貼付が無く「本人確認ができないから」という理由で割引の適用がされないのだと、「身体」「知的」との違いに納得していた覚えがあります。
しかし、この是正のためか平成18年から精神障害者手帳にも写真の貼付が制度利用上必要となり、更に他の障害者手帳とカバーの色も同じになりました。当事者団体による署名活動も活発に行われていました。これで、「精神障害者保健福祉手帳にも割引が適用されるようになるはず。」と思っていたのですが、なかなかそのようにはなりませんでした。
割引があれば、自分らしさの実現や楽しさが広がります
平成28年、当事者団体の実施した調査結果(割引適用されれば、8割以上の人が乗る回数を増やす)が「西鉄」に提出されたのち、今年(平成29年)4月から「精神障がい者割引」がスタートすることとなりました。 「西鉄」の決定に喜ばれる利用者は本当に多いと思います。
生活の幅が広がり、ご自分らしく活動できる当事者がどれだけたくさんおられるでしょう。
ただいま、引き続きお知らせ中です
さっそく、当院では、ご利用者がこの情報を分かりやすいように独自の案内文書を作成し、院内の「受付」、「外来」、「医療福祉相談室」、「デイケア」等に掲示しました。私自身は「これで、手帳お持ちの皆さんは、割引が利用できるだろう。」と思っていましたが、まだまだ不十分でした。
同年の6月上旬、たまたま手帳更新の説明を受けに来られたご利用者に「割引は利用されていますか?」と尋ねると、「毎日西鉄バスは利用していますが、いま初めて知りました。」とのこと。「新聞発表」や、「館内の掲示」だけでは、十分に情報をキャッチできない利用者がおられることにあらためて気づいた次第です。「自己決定の尊重」は私達ソーシャルワーカーが大切にしている原則の一つです。それを妨げる「知らないから利用できないという状況」は少しでも減らさなければならないと考えています。
すぐにソーシャルワーカー間でスタッフミーティングを行った結果、手帳更新の説明の際に「手帳の割引は利用してますか?」と声掛けをすることにしました。 このように「支援のニーズ」は、実際の利用者との関わりから、教えてもらうことばかりです。
平成29年6月13日 文責:内野 秀雄
西鉄グループ「精神障がい者割引」(平成29年4月1日~導入)について
これまで、西鉄電車や西鉄バスでは「精神障害者保健福祉手帳」による運賃割引は認められていませんでしたが、 平成29年4月1日から 割引制度がスタートしました。 この制度が活用され、皆さんの生活が少しでも暮らしやすくなればと願っています。
- <割引内容>
- 半額
- <割引対象者>
- 原則として1~3級の手帳所持者(ご本人)、および1級の手帳所持者の介護者。
- <ご利用方法>
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- 手帳の提示による割引
- 「障がい者用nimocaカード(※)」の利用による割引
nimoca取扱い窓口で手帳を提示すると発行してもらえます。
平成29年4月1日 油山病院 地域医療連携部 医療福祉相談室