4月19日、精神科病院において常に先進的な取り組みで全国的に有名な明石市の明石こころのホスピタルの副院長および診療課長のご講演が製薬会社のご協力によりオンラインで実現しました。当日の演題は、座長-福間病院の院長東和也先生による「統合失調症急性期治療でレキサルティを開始する意識について(診療課長 増本直希医師)」と座長-油山病院の院長入澤誠による「精神科医療の変革の現場より~チーム医療を実現したLAI(持続性注射剤)の関わり~(副院長 岡山多寿看護師)」でした。
まず増本先生のお話では、統合失調症の方ご自身が求める治療のアウトカムとは何か、という治療の在り方への問いかけに始まり、「病院は治療の場、基本的な生活の場は地域」とすることで患者さん自身が感じるリカバリー(回復)が実現できることが示されました。そのため精神科急性期治療において、患者さんが退院後の維持機能を念頭に置いて治療方針を選べるようにしていくとのこと。その結果、この10数年で早期の退院のみならず就労件数もアップしたとのご報告がありました。
さらに岡山副院長のお話では、平成18年以降に開始された病院の改革を臨床から経営や教育にいたるまで多岐にわたり指南していただきました。冒頭に現在の明石こころのホスピタルのご紹介がありましたが、入退院の促進、ベッド稼働率、平均在院日数などいずれも全国の精神科病院の平均をはるかにしのぐ圧倒的な水準であることに会場から驚きの声があがる程でした。副院長は、この約15年について①財務状況不安定期 ②患者獲得が必要な時期 ③成長期 ④維持期(マインド期)に分けて、臨床現場でのチーム医療の在り方、地域の基盤づくり、ブランディング、職員教育について「人材」を育てることで変革を成し遂げたとお話しされました。また、変革をとげる時に必要なことは「変わらなければならないこと」と「変えてはならないこと」を見極め、「変化を楽しみながら、やり遂げていく」ことだと語られたことに会場の参加者は圧倒され、明日からの個々の行動に大きな刺激をいただいたように感じました。このような講演を開催していただいた関係者の方に感謝申し上げます。
勉強会の報告