1月25日(土)西鉄イン福岡 AホールにてMeiji Seika ファルマ株式会社主催で福岡精神科薬剤フォーラムが行われました。
当法人の三野原義光理事長が司会を務め『アフターコロナの気分症の臨床を語る』として、医療法人和楽会 心療内科・神経科 赤坂クリニック院長であり、坂元薫うつ治療センター センター長の坂元薫先生のお話を伺いました。坂元先生はうつ病の治療を専門としており、長年にわたり臨床の現場で患者さんに寄り添いながら、講演やテレビ出演、本の執筆などを通じて幅広く啓蒙活動も行っています。
今回は、コロナ禍でうつ病のリスクが上がってしまった方々について、リスク因子、坂元先生が向き合っておられる現在の臨床の現場のことなどを様々な論文を引用してお話してくださいました。
講演の最後に、坂本先生は精神科に携わる医療人として、パパゲーナでありたいとおっしゃっていました。「パパゲーナ」とはモーツァルトのオペラ「魔笛」の登場人物。愉快な鳥刺し男パパゲーノの夢の恋人です。彼女を失ったパパゲーノは自ら命を絶とうと決意しますが、そこに三人の童子の助けと魔法の鈴の効果でパパゲーナが表れ、パパゲーノは最後の瞬間に生きることの喜びを見出します。希望を処方できるような医療人でありたいという坂元先生のお人柄がわかる大変あたたかい言葉です。
これはモーツァルトのオペラ「魔笛」からの言葉から生まれた言葉「パパゲーノ効果」が下地にあるお話です。「パパゲーノ効果」とはウィーン医科大学公衆衛生センター社会医学研究所准教授のトーマス・ニーダークローテンターラー氏らが2010年に発表した自殺の抑止効果のことで、自ら命を絶とう考えているような厳しい状況下でも前向きな対処法を紹介する報道には、それを思いとどまらせる可能性があるというものです。
講演での質問では三野原理事長から坂元先生に精神科医療の領域でのAIについての質問が投げかけられるなど現在の臨床現場、社会的な背景などを深く感じ入るものでした。AIが広まり、変わっていくものもありますが、フェイストゥフェイスを大切に、こころを失わないように。坂元先生のお話に元気や勇気を頂いた講演会でした。