精神科リハビリテーションって何?
こんにちは。作業療法士の伊藤です。当院では以前から精神科リハビリテーションに力を入れています。近年、入院中のリハビリから退院後のリハビリの流れをより円滑にし、患者さんにとってより幅広いリハビリテーションを提供できるよう体制構築に力を入れているところです。
ところで、「リハビリテーションって何?」「精神科リハビリテーションって何?」と疑問に思われる方も多いかと思いますので、今回は当院の精神科作業療法を通して、精神科リハビリテーションについてお話させていただきます。
「その人らしい生活の再獲得と再構築」
まず、「リハビリテーションとは」というお話です。英語では「Rehabilitation」と書きます。このスペルを分解すると「Re-habilis-ation」となり、それぞれの意味は「Re」=再び、「habilis」=適する・ふさわしい、「-ation」=する事、です。直訳すると「再び適した・ふさわしい状態にする事」という意味になります。つまり、リハビリテーションは「その人らしい生活の再獲得と再構築」と言い換えることが出来ます。
精神科リハビリテーションでは、主治医の先生をはじめ、看護師や僕たち作業療法士、精神保健福祉士等数多くのコメディカルスタッフがこのリハビリテーションという治療体系を構築しています。つまり、精神疾患をお持ちの方々に対して、多職種がかかわり、その専門性を活かしつつ、心身機能の維持・回復、そして対象者の能力を最大限活かした生活の再獲得・再構築を目指して行うリハビリテーションの総称を「精神科リハビリテーション」と呼びます。
精神科リハビリテーションのなかでの作業療法士の役割
次に、その一角を担う精神科作業療法士の役割についてお話します。作業療法士は対象者の健康的な側面に働きかけ、育みながら、より良い生活を営めるようリハビリテーションを行っていくことが大きな役割です。
身体分野での作業療法では残された機能の回復や応用動作の獲得などを図り、主に身体機能面の効率的な活用と訓練を行いながら、その人の生活を取り戻すべくリハビリを行っていきます。
その一方で、精神科分野では作業活動(楽しみや運動・人との交流・休息など)を通して、対象者の健康的な側面を発見し育み、自分自身の特性を振り返っていきます。そして、病に伏せることなく(症状の軽減)今の自分の能力を確認(現実検討向上)し今後の希望をもたらすこと(能力開発と目標設定)が出来るようリハビリを行っています。(具体的な活動は「笑顔になれる作業療法」をご参照ください)
退院後もリハビリテーションが受けられる
当院では入院治療としての作業療法を受け、退院後も通所というかたちでリハビリテーションを継続することができます。疾患や個性に応じて「統合失調症の方のためのデイケア」「軽度認知障害の方のためのデイケア」「気分障害の方のためのデイケア」や「復職支援プログラム(リワーク)」を行っています。
また、入院中の作業療法の雰囲気をそのまま移行させた外来作業療法もあるなど、幅広いリハビリの選択肢を準備しています。
作業療法士はリハビリテーション部に所属していますが、入院中の作業療法の中で対象者の特性を理解し、その方の退院後の生活を見据えて関わっています。その情報を主治医や看護師、精神保健福祉士などコメディカルと共有しながら必要なリハビリテーションを部内で円滑に進めていく体制も構築されています。
精神科リハビリテーションを通して再び輝き取り戻し、一層輝けるように。
精神疾患により今後の希望や目標を見失う方も見受けられますが、当院のリハビリテーションを利用して新たな生きがいや役割・楽しみを見つけ、退院後も症状と上手く付き合いながら社会生活を送っている方も多くおられます。今後も入院時のみならず退院時も一人一人のニーズに沿ったリハビリプログラムを提供し、多職種でサポートさせていただきます。
これからも対象者が再び輝きを取り戻し、より一層輝けるお手伝いが出来ると思います。当院のリハビリテーションにご期待ください!
文責 作業療法士 伊藤雄二