統合失調症とは、その主な症状

統合失調症は、何らかの原因によってさまざまな情報や刺激に対して脳が対応できず、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患で、幻聴や妄想(見張られている・後を付けられているといった妄想)など多彩な症状が現れる病気です。人によって様々な症状が生じます。20代前後の比較的若い時期に発病することが多く、高齢になってから発症するケースは比較的少ないとされています。
発症の原因ははっきりとわかっていませんが、脳の機能にあると考えられています。原因説としては脳のドーパミン仮説、ストレス・脆弱性仮説などがあります。また遺伝子も関与しているといわれていますが、単純に遺伝子だけの問題ではなく、さまざまな要因が関与していると考えられています。
統合失調症の症状は、主に「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けることができます。以下は、わかりやすく症状別に具体例を記したものです。

陽性症状(妄想、幻覚、思考障害)

  • 監視されている、盗聴されていると感じる
  • 他人から危害を加えられていると感じる
  • テレビやラジオで自分のことが報道されていると感じる
  • 自分が責められている、尾行されている、騙されていると感じる
  • 本や新聞などの内容が自分のことを指していると信じている
  • 実際には存在しないはずのものが見える
  • 周りに誰もいないのに命令する声や悪口を言われていると思い込む
  • さまざまな考えが頭に浮かんで混乱してしまう
  • 会話に脈絡がなく、何を話しているのかわからない
  • 身なりや衛生面が不適切になる
  • 周囲や他人の言動に過敏になる、極度に興奮する

陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如、自閉-社会的引きこもり)

  • 喜怒哀楽の表情が乏しくなり、他者に共感することが減る
  • 口数が少なくなる、質問に対してそっけなく答える
  • 以前は楽しめていたことに関心を示さなくなる
  • 人間関係や周りのことに興味関心がなくなる
  • 何ごとにも意欲がなく無気力になる、いったん始めた行動を続けるのが難しい
  • 部屋が荒れがちになる
  • 自分の世界に閉じこもり、自宅にひきこもりがちとなる

認知機能障害(記憶力の低下、注意・集中力の低下、判断力の低下)

  • ものごとを覚えるのに時間がかかる
  • 細部にこだわりが強い反面、全体を把握できない
  • 本を最後まで読めない、単純作業でもやり終わらない
  • 目の前の仕事や学習に集中したり考えをまとめたりできなくなる
  • 集中困難、周囲が気になり落ち着きがない
  • 部屋の整理整頓ができず、散らかっている
  • 掃除や洗濯、料理などの手順を理解しづらい
  • 指示通りに物事が出来ない、話の筋を追えない
  • 優先順位をつけてやるべきことを判断したり、計画を立てたりすることができなくなる

3つの病型

さらに、統合失調症においては主に現れる症状や病気の経過によって破瓜型(解体型)、緊張型、妄想型に分類することができます。しかし、この3つに当てはまらないタイプも多く、統合失調症は複数の病気の集合体とも考えられています。

破瓜(はか)型(解体型)

破瓜型統合失調症は、最近では「解体型統合失調症」と呼ばれます。解体型統合失調症は、主に10代から20代の思春期から青年期までに発病することが多いといわれています。その名称の通り、思考が解体する(原始的な状態への退行や抑制の無さ、まとまりのない言動)ことが特徴にあげられます。症状としては、支離滅裂な会話や行動、喜怒哀楽の感情の起伏がなくなり意欲が低下してしまうなどの陰性症状がみられます。

緊張型

緊張型統合失調症は、主に20歳前後の青年期に突然発症するケースが目立ちます。緊張型統合失調症の主な症状は、著しい神経運動障害です。激しい興奮状態と昏迷状態*という正反対の症状が現れます。具体的には急に大声を出して叫んだり、身体が奇妙な姿勢のまま動かないなどの異常行動がみられます。それらの症状は一定期間過ぎると症状が治まりますが、治療を中断すると再発を繰り返す可能性が高くなります。
(注)混迷状態:意識障害の一つで、中等度の意識混濁。繰り返し強く呼びかけると一瞬だけ反応がある状態をさす。

妄想型

妄想型統合失調症は主に30歳前後に発症する発病年齢の遅いタイプで、主な症状としては幻覚や妄想などが顕著で、それらは被害的または誇大妄想が特徴的とされています。通常、感情や意欲、会話などの障害はあまりみられませんが、刺激に過敏になったり、怒りっぽくなったり、恐怖や猜疑心を抱きやすい傾向はあります。また社会的なコミュニケーションは円滑に保たれているようです。

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