精神疾患の治療には薬物療法や精神療法などがメインとなっており、栄養管理や食事指導などに目を向けられることは少ないことが現状です。しかし最近では精神疾患と栄養の関連を示した研究や症例発表が増えてきました。今回はうつ病と栄養について少しお話したいと思います。
うつ病を予防もしくは改善する食事とは特別な何かではなく、バランスの良い食事を規則正しく摂ることが大切になります。これは生活習慣病を予防することにも繋がります。糖尿病やメタボリックシンドロームはうつ病のリスクとなり、うつ病になるとこれらの病気の発症リスクが高まるとも言われているので、エネルギーの過剰摂取には気を付けなければなりません。うつ病にかかわる栄養素と食品というのも研究で分かっているため不足しないように気をつけることも大切です。いくつか紹介します。

【ビタミン】
ビタミンB1、B6、B12、D、葉酸などの不足がうつ病のリスクを高めると言われています。葉物野菜や納豆、レバーなどを食べていますか?またビタミンDは皮膚に紫外線が当たって合成されます。散歩など屋外に出る機会も増やしましょう。

【アミノ酸】
必須アミノ酸のトリプトファンは神経伝達物質であるセロトニンや睡眠を誘発するメラトニンの原料になります。良質なたんぱく源(肉や魚、卵、大豆、牛乳など)をしっかり摂ることが大切です。

【脂肪酸】
n-3系不飽和脂肪酸であるDHAやEPAは魚(特にマグロ、イワシ、ブリ、サバ、うなぎなど)に多く含まれます。魚の摂取量が少ない人や血液中のn-3系不飽和脂肪酸濃度が少ない人はうつ病リスクが高いことが分かってきたので、週に2~3回は魚料理を食べるようにしましょう。

【乳製品・乳酸菌飲料】
乳製品や乳酸菌飲料を摂ることで、腸内環境が整います。腸内に善玉菌が増えるとストレス反応をやわらげる効果があると言われています。ヨーグルトなどを取り入れると良いでしょう。

古くから「医食同源」という言葉があります。自身の食生活を振り返り、日頃からバランスの取れた美味しい食事を摂ることで病気を予防しましょう。