看護師になり約25年、そのうち3分の2の歳月を訪問看護師として地域で仕事をさせていただいています。きっかけは腰痛を発症し手術でした。その後、訪問看護へ異動の話がありました。楽観主義者の私は「まぁ、何とかなるだろう」と二つ返事で承諾しました。

しかし、当時はまだ精神科訪問看護は現在のように確立されておらず、全てが手探り状態です。利用者は年配の方が多く、まだ若かかった私は人生経験すら浅く、何を話せば良いのかも分からず沈黙。利用者との関係も気まずくなりました。伝え方が見つからず日々これで良いのかと思い悩み上司へ相談すると「相手に気持ちが伝われば充分だから」と助言され随分気持ちが楽になりました。

それでも、こんなに長く地域で仕事を続けられたのは、仕事の奥深さだと思います。本当に奥深いのです。ここがゴールだと突き進んでいても、実はスタートの始まりであったなんて事がざらにあります。だからこそ、もがき苦しむ事もありますが、まだ頑張ろうとモチベーションになります。また、利用者から励ましの言葉をいただく事もあります。「悪い事が起こると、次に良い事の起こるサインだよ」「人生、何事もコツコツが一番。」と人生の大先輩方は教えてくれます。支援者としてエビデンスに基づいた支援は大切です。ただ、ひたすらに支援者という立場だけで接しようとすると相手から受け入られない事もあります。その人に合った柔軟な対応力が必要です。そして、地域で働くという事は自らもそこで生きていると実感します。こんな体験が出来る仕事など、そうはないと思います。

これからの役割はもっともっとこの地域で働く面白さを伝えていく事だと思っています。共に働く仲間が増えればこれほど心強いものはありません。

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