福岡市では企業向けに「ゆる~く備える親の介護講座」というのをやっております。早良区では住民向けに「介護は突然やってくる! ~親子で考える介護の備え講座~」を公民館で始めました。もちろん市も区もともよくわかってやっていらっしゃるのです。そこをあえて天邪鬼に「どっちなんだ!!」と考えてみました。

目を付けたのは厚生労働省が公表している「平成 28 年 国民生活基礎調査の結果」(震災の影響でしょう。熊本県は除くとなっていました。)です。介護保険を利用するには要介護認定を受ける必要があります。要介護状態となる原因が載っていました。要介護度でその原因も異なります。確か男女でも差があったような気がします。とりあえず総数で比べてみました。

1位は何と認知症となっていました。これは初めてのことです。2位が脳血管疾患(脳卒中)3位は高齢による衰弱です。

10数年前、厚生労働省の中に、高齢者リハビリテーション研究会というものがありました。半年ほどの間に7回ほど会議を開き2004年に中間報告書を取りまとめて以降は開催されていないようです。それまでリハビリテーションといえば脳血管疾患のタイプだけに注目していたものを、廃用症候群(広くとらえて高齢による衰弱)と認知症を加えて3つのタイプがあるとしたのは画期的で、現在の考え方の基盤を作ったといってよいとかも知れません。ちょうど今回の3つの原因と一致しているのには書いていて「超・びっくりしたかも・・・」です。

まずは3位の「高齢による老衰」から順に考えてみましょう。「朝起きてみたら年を取ったことが原因で体が弱っていた。」これはあり得ませんよね。高齢による衰弱はじわじわ起こってきます。典型的な「ゆっくりやってくるタイプ」ですね。

ところがそうはいってもそうでもないようです。

衰弱は長い目で見るとじわじわ起こるように見えます。安静にしすぎる生活を続けるのは完全にこのパターンとなります。一方よく見るとちょっとしたきっかけがあるパターンがあります。「風邪を引いた。」、「骨折はしなかったけど転倒した。」こういった後にはしばらく元気がなくなっていくようです。その後、横ばいになります。これを繰り返すパターンは実は階段状に悪くなっていきます。この元気がなくなっていく時期に集中的に介護予防に取り組むとほとんど元に戻るそうです。もちろん永遠に維持できるわけではありませんから結局長い目で見ると「ゆっくりやってくる」ことになります。

「高齢による衰弱」は適度に運動することと、体調を崩した後に専門家の支援を受けることでかなり予防ができそうです。