きっかけ
12月4日(日)佐賀県作業療法士会主催の学術研修会「地域における移動支援を考える」~地域包括ケアに係る私たちが出来る事~(オンライン)(多職種向けと作業療法士向け)に参加いたしました。脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)となった方への自動車運転の話と郊外での交通手段の話が主でした。
学んだこと
直接的な学びも間接的な学びもありました。
障がいであれ、加齢であれ運転が困難になった場合、運転をやめた方が良いと勧めるのは簡単ですが、なぜその方は運転をしたいのか? 運転をやめると何が困るのか? どんな代替方法があるのか? そういったことをよくよく考えないと、あとから大変に困ったことになったり、何度勧めても運転を止めなかったりという事になるようです。
そういえばリスク・コミュニケーションの話もありました。いつも車いすのブレーキをかけ忘れて転倒の危険性が高い方の話です。「危ないから必ず看護師を呼んでください」と、いくら説明しても変わりません。コミュニケーションをとってみると「看護師さんは忙しくて呼ぶのは気の毒」「ブレーキをかけ忘れたことはない」「こけたら(転倒したら)痛かろうねえ」という事で、ブレーキをかけ忘れているという認識も、転倒したら骨折のリスクがあるということも全く考えておられなかったそうです。そこを共通の認識としなければ気の毒で看護師さんは呼べないのでしょう。
部下の指導もそうかもしれません。指示を守らないと腹を立てるよりなぜ指示を守らないかを考えたり、どう話せば指示通り動いてくれるのかと反省したりしたほうが良いかもしれませんね。
そうそうもう一つ。運転をやめて家族送迎になると要介護のリスクは2.16倍、交通機関や自転車を利用しても1.69倍。逆に運転している人の認知症リスクは運転していない人より4割少ないそうです。たくさん学びました。
自動車業界
最近、自動車業界の動きが気になります。様々な理由で車に乗る人が減ってきているそうです。一方、電気自動車の出現で車に必要な部品の数が激減して、サイズやデザインなど自由度が大きく増えているそうです。
YouTubeを見ると1人乗りや2人乗りの小型の電気自動車が走っています。
ある大手の自動車会社のホームページを眺めてみました。
軽自動車の最大枠より長さで約90㎝、幅で約18㎝も小さな2人乗りの自動車が出てきました。
(この前、家内と所用で大分の姫島にわたり2人乗りの電動自動車で移動しましたがとても快適でした。)他にも立ち乗りの電動3輪車もありました。よく見ると座って乗るタイプや車いすの前にくっつけて車いすごと移動するタイプも近々販売予定のようです。この会社はHCR(国際福祉機器展)にも電動車いすを出展していました。オフロードタイヤを履いて階段もスイスイといった感じです。
海外ではこういった車いすも多く存在しています。階段の上り下りが出来るもの、高さが変わって立っている人の目線に合わせたり棚の上のものが取ったりできるもの、オフロードタイヤで砂浜を走るもの・・・。以前見た動画では車いすの前方に電動式のバイクのようなものをつけて氷の上を疾走していました。(カッコよかった~)
日本にもwillという電動車いすがあります。お一人の障害をお持ちの方が「近所のコンビニまで行きたい」「普通の車いすじゃあ、かっこ悪い」といったので創った、と開発者の方が言われていました。
障がいをお持ちの方の活動性
障がいをお持ちの方の活動性について感じていることがあります。以前に比べて街中で車いすユーザーなど様々な障害をお持ちの方に出会う機会が増えたように思います。障がいをお持ちの方がそんなに増えたのでしょうか?
日本人で、車いす一人旅で、世界中に駆け回っている方がいらっしゃいます。国内や海外でプールやスカイダイビングを楽しんでいる方もいらっしゃいます。きっと活発に活動される障害を持ちの方が増えたのでしょう。
高齢者の移動
高齢者の移動手段はどうでしょうか? もちろん飛行機や船、新幹線やバスや自家用車と多くの移動手段があると思います。遠方への移動には欠かせません。
近距離はどうでしょうか? 歩く、自転車に乗る、電動自転車もある、バイクもある、杖を突いて歩く、歩行器や歩行車を使う、車いすに乗る、電動車いすもある。シニアカーもありますね。
移動を支援する道具は福祉用具や日常生活用具などと言われて、いわゆる福祉用具や車いすメーカーなどが対応してきたと思います。
これからの移動(モビリティ)
旅は移動そのものが目的かもしれません。日常生活において移動は手段であり、移動した先で何かを目的を達成することが多いと思います。以前出会った脊髄損傷の車いすユーザーは「移動は手段」という事に気が付いてでほっとした。手段は何でも構わないからいろいろな移動手段にチャレンジしてより活動的な生活を送りたい、とおっしゃっていました。
これからは様々な移動手段が出てくるのでしょう。中距離? においてはコミュニティバスやデマンドタクシーなどが増えていくのだと思います。特に郊外では人口が減り路線バスが減っているところも少なくありません。
個人の移動として車はやはり魅力です。自動運転の技術や法整備も進んでいくのでしょう。電動系はずいぶん増えていくのでしょう。自動車に近いもの、車いすに近いもの、自転車に近いものなどなど。選択肢が増えるのは良い事ですが、乗り物である以上、事故の心配もつきません。
それでも夢はどこまでもです。
さて、心配事一つあります。日本の車いすの耐荷重はほとんど100㎏。私は体重オーバーで乗れないのです(涙)。