日本は、自然災害が発生しやすい国土といわれており、地震や豪雨、台風など甚大な被害をもたらす自然災害が相次いでいます。そうした大きな災害の時には、ライフライン(電気・ガス・水道)の遮断や、流通が滞ったり食料の支援が届くまでに時間がかかったりするため、備蓄品が重要になります。私たちは備蓄としてどのような物を、どのくらい、どのような点に注意して準備し、どのように管理すればいいのでしょうか?

●どのくらい必要?
家庭備蓄は「最低3 日分、できれば1 週間分」を農林水産省は推奨しています。以前は3 日分でしたが、東日本大震災で食料不足が生じ、被災地に食料が届くには最低でも5~6 日は必要であったことなどから改訂されました。
●どんなものを備蓄する?
農林水産省のガイドでは栄養面等を考慮した4 点セットを示しています。①水②米などの主食③缶詰などのおかず(主菜・副菜)④カセットコンロなどの熱源です。(図1)
●選び方のポイント
災害時は食欲が低下し、食べたことがないものは食べられないという人も多くなるようです。普段から食べ慣れている食品、買っておいてもすぐに在庫がなくなる食品などを多めにストックすると良いでしょう。
●どうやって備蓄を管理する?
災害専用の特別な食品だけを備蓄する必要はありません。循環備蓄(ローリングストック)とは、普段から使う食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足す方法です。常に一定の量の食品を家庭で備蓄できます。普段の買い物の範囲でできるため、費用や時間も節約でき、買い置き用のスペースを少し増やすだけで済むことが特徴です。

災害時の食事は、おにぎりとカップ麺があればよいわけではありません。極度のストレスや慣れない生活環境の中で、血圧は急激に上がり、血糖値も悪化します。栄養の偏った食事が続くと、これらの健康障害をさらに悪化させます。また、日頃から特別な食事が必要な要配慮者(乳幼児、妊産婦、高齢者、食物アレルギー患者、慢性疾患患者など)は大きく健康を損なう恐れがあります。日頃から食べ慣れているものを多めに「買い置き」しておくことや、非常食を実際に家族みんなで食べてみるといった工夫が、災害時にしっかり食事を摂ることにつながります。
災害が身近な問題として考えられる今、もう一度ご家庭の備蓄を見直してみませんか。