10月8日に「福岡精神科医療を考える会」の講演会がZoomを活用したライブ配信で行われました。今回の特別講演のテーマは「統合失調症の社会復帰に向けて‾デイケアと薬物療法の視点から考える‾」で、講師は福岡大学医学部精神医学教室助教の飯田仁志先生です。また座長は可也病院院長の栗田輝久先生。講演会を受講する当院の職員は3密を避けて40名ほど当院北館の多目的ホールに集いました。
まず飯田先生から改めてデイケアとは何か、その算定基準、歴史など基本的な知識の伝授があり、さらに福岡大学におけるプログラム型デイケアについて体育療法やSSTの実践、さらに最近の活動内容についても詳しくご説明を受けました。そもそも福大デイケアではデイ・プログラム型が中心であったが、精神科の救急・急性期病棟の導入によりデイ・ホスピタル型に移行してきたことに言及されました。そのことを踏ま えて、現在のデイケアの効果を問い直し、慢性期のデイケアの活動効果のエビデンスが得られない実態があることにも触れられました。また社会復帰をめざすなかで特化したプログラムや施設オリジナルのプログラムが増えているとのこと。デイケアは治療者側にとっても有用で、デイケアでは診療場面以上に患者さんとの会話が増えるので、研修医の教育の場としても欠かせないとのご発言もありました。
現在これまでの統合失調症の方を対象とした居場所的なデイケア運営は全国的にも低迷してきており、将来的にデイケアのもつ有用性をどのように展開していくかを見直す岐路に立っていると切実に感じた講演会でした。