10月8日、市内の精神科病院が連携して運営する「多職種で考える精神科臨床の会(講演2部構成)」が、WEB形式で開催されました。
まず最初に医療法人碧水会長谷川病院の院長吉永陽子先生による「統合失調症の新たな展開」(座長:医療法人泯江堂 理事長 三野原義光)と題する講演を受講しました。精神科で使用される薬品においては、精神医療の初期段階では患者さんを鎮静させることを重視した薬品が多く、副作用については軽視されがちでした。その後、非定型と呼ばれる薬品が開発されますが、その段階でもやはり鎮静の効果を強調した薬品が主流であることに変わりはありませんでした。しかし、最近の統合失調症の治療においては非鎮静の薬品に切り替えることが主流になりつつあることを吉永先生は強調されました。副作用が少ない非鎮静の薬品は、これまでの鎮静重視の薬品とは異なり、患者さんが落ち着くまで時間を要します。そのため使用当初は、看護師など医療スタッフのなかには薬の効用がみられないと感じることも多かったそうです。そういう状況下で吉永先生は根気よくこれらの新薬への理解を深めてもらえるように、スタッフとのコミュニケーションを重ねたことをお話しされました。統合失調症の方々への新たな治療のためには、やはり地道なチーム医療が必要なことを改めて感じました。
次の講演は、医療法人和楽会 心療内科・神経科赤坂クリニックの院長 坂元薫先生の「Withコロナ時代の双極性障害の臨床を語る~変わること、代わらないこと~」でした。長引くコロナ禍でこれまでになかった若い女性の自殺が増えていることに言及されました。派遣切りやシングルマザーの問題など従来から顕在した状況がコロナ長期化によってより深刻化した影響のようです。坂元先生のクリニックにおける双極性障害の方々の事例を交えて、現在の精神科医療の直面する問題が浮き彫りになったように感じました。
この日は当法人職員40名程度が参加しましたが、これからもWEB活用の研修で研鑽を深めてまいります。
勉強会の報告