うつ状態、抑うつ状態とは
病気ではなくても、悲しいことが起きたとき、つらい思いをしたとき、誰しも気持ちが落ち込み「抑うつ状態」になることはあります。精神科では憂うつな気持ちがあったり気分が落ち込んだりなどの症状を「抑うつ気分」といい、その「抑うつ気分」が続いた状態を「うつ状態」もしくは「抑うつ状態」と呼びます。「うつ状態」や「抑うつ状態」は基本的には同じ意味で、明確な基準はありませんが一時的な気分の落ち込みを指しています。一般的に「うつ状態」という言葉を耳にしますが、精神科では「抑うつ状態」という用語を用いることが多いようです。
うつ状態(抑うつ状態)は「うつ病」でない場合もある
精神科では、状態としての「うつ状態(抑うつ状態)」と病気である「うつ病」は明確に区別されています。「うつ状態(抑うつ状態)」が長く続き、生活に支障が出て苦痛が強い場合は、「うつ病」と診断されます。
(ご参考)
「健康プラザ No.454」企画:日本医師会
しかし、本人が憂うつさを自覚し「うつ病」だと思っている場合でも、診断書に「うつ状態」「抑うつ状態」とある場合もあります。
それは、「うつ状態(抑うつ状態)」であるからといって必ずしも「うつ病」とは限らず、他の疾患の可能性があるという意味を含んでいます。「うつ状態(抑うつ状態)」はいろいろな疾患にも見受けられ、「うつ病」以外にもさまざまな原因によって引き起こされると考えられています。たとえば、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、認知症などの精神疾患でも「うつ状態(抑うつ状態)」は認められますし、精神疾患のみならず心筋梗塞、ガン、関節リウマチといった精神疾患でも認められるようです。
ですから、安易に「うつ状態(抑うつ状態)だから、うつ病」と自己判断することは適切ではありません。「うつ状態(抑うつ状態)」が続くようであれば、専門医である精神科医にご相談されることをお勧めします。本当に「うつ病」なのか、他の病名なのか、精神科医の診断を受けることが大切です。早期に発見し、効果的な治療を開始するためにも、自己判断ではなく、専門医の判断を仰ぐことが好ましいと思われます。